ステーブルコインとは何か

ステーブルコインは、価値の安定を目的として設計された暗号資産です。一般的に、米ドルやユーロなどの法定通貨、貴金属、その他の資産に価値を連動させています。価格の安定を維持するため、さまざまなメカニズムが用いられます。

ステーブルコインの主な4タイプ

• 法定通貨担保型：米ドルやユーロなどの法定通貨準備金によって裏付けられています。USDT、USDC、BUSDはその代表例です。
• 暗号資産担保型：暗号資産を担保とし、通常は過剰担保で安定性を保ちます。たとえばDAIはイーサリアムなどを担保に持ち、スマートコントラクトで価値を維持しています。
• アルゴリズム型：物理的資産や法定通貨による担保がなく、アルゴリズムによる供給量調整で価格安定を図ります。TerraUSD（UST）がこの仕組みを採用していました。
• コモディティ担保型：貴金属など、実際の資産を担保とするタイプです。PAX Gold（PAXG）やTether Gold（XAUT）が該当します。

代表的なステーブルコインの事例

• Tether（USDT）：市場シェア最大のステーブルコインで、米ドルなどの法定通貨や高い流動性資産を準備金としています。
• USD Coin（USDC）：CircleとCoinbaseが発行し、透明性や厳格な規制遵守で知られています。
• DAI：MakerDAO（現Sky）が発行する分散型ステーブルコイン。暗号資産担保型で、スマートコントラクトにより運用されています。
• その他、TUSD、PAX（現USDP）、sUSD、USDN、Reserve（RSV）などが市場で重要な役割を担っています。

2025年におけるステーブルコイン業界の最新動向

• 「ステーブルコインの夏」：2025年は「ステーブルコインの夏」と呼ばれ、クロスボーダー決済や決済手段としての役割に伝統的金融機関の関心が集まっています。
• 人民元ステーブルコイン：中国は人民元担保型ステーブルコインの発行を検討しており、香港での試験導入を通じて人民元の国際化を進めています。
• 米国の規制進展：米国はUSドル建てステーブルコインに対する連邦規制枠組みを設けるGenius Actを導入しました。
• EUデジタルユーロ：欧州連合はユーロの国際金融競争力強化を目指し、デジタルユーロの導入を加速しています。

初心者がステーブルコインを選ぶ際のポイント

• 安定性・高流動性・市場での信頼性を基準に、USDTやUSDCなどの法定通貨担保型を優先しましょう。
• 透明性や準備金の安全性の確認も重要です。USDCは毎月の監査報告書を公開し、USDTも準備金が常に注目されています。
• 分散型を重視する場合はDAIを選ぶ選択肢もありますが、暗号資産価格変動によるリスクを理解してください。
• アルゴリズム型ステーブルコインは慎重に扱う必要があります。USTの崩壊では大きな損失が生じました。
• 米国・EU・中国などの規制や政策動向を常に注視し、ステーブルコインの発行や利用における影響を把握しましょう。